空を見上げて
「まぁ…言いたくない事の一つや二つ、誰にだってあるし、無理に聞こうとも思わないけど…みんながみんな、怖い奴ばっかりじゃないから。リハビリのつもりでさ!少しずつ慣らしていこう!」

「うん…」


こんな風に言ってくれる人もいるんだ…。

『男の人=怖い』

私の中で確立してしまったこの方程式を壊そうとしてくれる人。

蒼との出会いが、私の中の何かを変えていく…。

蒼の笑顔のおかげで、胸につかえていた何かが軽くなった気がした。

そして、勢いに乗って私は『お酒』の話を聞くと、『昨日も説明したのに!』と嘆く蒼。

頭を下げてお願いすると、「昨日と同じ説明」をしてくれた。

ホントに怖いな、お酒って。

気をつけよう。


「あ、俺、本屋行きたいんだけど、美月どうする?」


話がひと段落したところで、蒼が目の前にあった本屋を指さす。


「じゃ、私ここのお店見てるよ。」

「わかった、ちょっと待ってて!」


私が、隣にあったお店を指さして言うと、蒼は小走りで本屋に消えて行った。

訳のわからない電話から、こんな事になるなんて考えてもいなかった。

とぼとぼと、お店の中に入るでもなく、外側からお店の中を眺めるように歩きだす私。

あ…このストラップカッコイイ…。

私が手にとってストラップを見ていると、後ろから男の人の声がした。


「一人?」

「え…?」


私が振り返った視線の先には2人の男の人が立っていた。

大学生?

多分、私よりは年上…。


「ねぇねぇ、一人なら買い物付き合ってくれない?」

「コイツ妹にプレゼント探しててさ、君と同じくらいの年なんだよね」

「はぁ…」


後ずさりしながら、この人たちの言う事は本当なのか?

そんな疑いの目で見てしまう私。


「ね、買い物終わったら、お礼にご飯でもおごるからさ!」

「あ…でも、一人じゃないんで…」


私は、視線を本屋の方へ移して、蒼の場所を確認しようとした。

でも、視界に入るところには見当たらない。


「友達?女の子ならさ、参考に一緒に行こう!」

「いえ…男の子なんで…」


私の言葉に、大学生らしき二人は顔を見合わせた。
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