空を見上げて
「美月っ!」

「ご…ごめ…怖か…」


緊張から解放されたせいか、気がつけば目から涙が次々に流れ始めた。


「ちょっ…美月…ごめん!すぐ気付いてやれなくて!」


蒼のせいじゃない。

そう言いたいのに、声が出ない。

私に向かいあった状態で戸惑う蒼。

その時、ふわっと頭の後ろに手が回った。


「ごめん…もう、大丈夫だから。」


優しく撫でる蒼の手に、不思議と怖さを感じなかった。



「落ち着いたか?」


蒼は、私が泣きやむまで、ずっと優しく頭をなで続けてくれていた。


「うん…ごめんなさい。」


私はようやく落ち着きを取り戻し、蒼に謝ると、背中を軽く叩かれる。


「俺こそ、ごめんな…」


蒼の声を聞いて、私はプルプルと首を横に振る。

それを見て、優しく微笑んだ蒼は、私が握りっぱなしだったストラップと手にした。


「あ…」


持ったままだったんだ…。

忘れてた。
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