空を見上げて
真剣にストラップ付けをしている蒼。

私は、なんとか立ち上がり、さっきのお店に向かった。


「美月?」

「大丈夫、すぐ戻る。」


少しふらつく足で、蒼が買ってくれたストラップのお店に入る。

それでも、手の震えは止まっていた。

私はレジに向かい買い物をした。

私も蒼と同じようにタグを取ってもらい、蒼のもとへ戻ろうとした。


「あの…」


レジにいた店員さんに呼び止められ振り返る。

可愛らしい女性の店員さん。


「さっきは…大丈夫でしたか?ごめんなさい、助けてあげられなくて…」


俯き加減でそう言った店員さん。

私が何も言えずにいると、店員さんは続ける。


「助けなきゃって…思ったんですけど…怖くて…」


手に持っていたはずしてもらったタグをギュッと握りしめる店員さん。

なんだか少しホッとした。

全ての人に見捨てられた訳じゃないんだ…。


「大丈夫です…ありがとう…私も同じ立場だったら、声はかけられないと思うから…。」


私の言葉を聞いて、店員さんは顔をあげて安心したような表情を見せた。

それにつられて、私も笑顔になった。


「…ありがとうございました。」


店員さんはそう言って深々と頭を下げた。


私が店を出ると、蒼が目に留まる。

まだ、付けてる…。

蒼って意外と不器用?

そう思いながら、蒼の座っている階段に向かって歩き出した時、ようやくストラップの紐が携帯の穴に通ったらしく、蒼は私を見てニッと笑った。

少し誇らしげな蒼。

なんか可愛いかも。

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