空を見上げて
その笑顔を見ていると、茜の気持ちが少しわかった気がした…。

ちょっとイジってやりたい…。

そんな気にさせる蒼の笑顔。

そして、私は今買って来たものを蒼に手渡した。


「これも付けて?」

「は?色違い?欲しかったのこの色じゃなかったのか?」


私が買ってきたのは、蒼が買って来てくれたストラップの色違い。


「私が欲しかったのはこの色だよ。それは蒼の。」

「へ?」


間の抜けた声を出す蒼。


「今日…いろんなところ案内してくれたのと…助けてくれたお礼…嫌じゃなかったら…。」


右手を差し出す私。

目を丸くして、私をじっと見る蒼。

何か返したい…。

そう思って買ってきたストラップ。

でも、考えてみたら、私が男の子とお揃いなんて初めてだ…。

そんな事を考えていると、蒼を真っすぐ見る事が出来ずに視線を逸らす。


「…いらなかったら…私が使うけど…」


しばらくの沈黙ののち、私が口を開く。

初めてのお揃いで、なんだか妙に意識してしまってる上に、蒼は私の右手を見たまま固まっていたから…。

後先考えずに行動してしまった自分を後悔し始めたとき。


「いや、ごめん!ありがとう!」


私の手から、そっとストラップを取った蒼。

受取ってもらえた嬉しさで、私は視線を蒼へと戻した。

目が合うと、蒼はフワリと笑う。

この人が、あの人たちを追い払ったなんて信じられないかも…。

そんな事を考えてしまうほど、優しい笑顔だった。

蒼が、ストラップを受け取ってから、携帯に付け終わるまで約10分…。

私は蒼を冷やかしながら、隣で急かしていた。


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