空を見上げて
「つきあわせてごめんね?」

「いいって!俺が誘ったんだし。」


誘ったのは確かに蒼かもしれないけど、私の興味のありそうなところばかりを回ってくれてるのがわかったから。

なんだろう…。

不思議な人だなぁ。

さっき頭を撫でられたときだって怖さを感じなかった。

気遣いが出来る人だから?

助けてもらったから?

私の中のこの疑問は、今後も深まる一方だったりする。


「あ、そうそう、さっき心からメール来ててさ、また遊ぼうって!今度は心の彼女も一緒に。」

「え…?」


「また」があるとは聞いていたけど、こんなすぐに?

あんな失態をおかした直後に…

恥ずかしくて、もう会えないよ…


「ごめん、私は…」

「なんで?」

「…や、恥ずかしいし…」


少しの沈黙…



そのあと、蒼は大笑い。

目に涙まで浮かべてる。

ヒドい…


「そんなこと気にしてんの?」

「そりゃ…するよ。」


知らずにとは言え、お酒を飲んで、酔い潰れるなんて…。


「大丈夫だって!アイツら、美月で楽しんでたから」

「初対面で、あんな…記憶ないとかあり得ないし!」

「気にすんな〜」


そんなこと言われたって気にするもんは気にするんだいっ!

私が、口を尖らせながら、抗議を続けると、蒼の口から決定的な発言が。


「駿河がそんな理由で行かないのを許可すると思う?」

「……思わない」

「だろ?」


『だろ?』って…

ちょっとくらい、救いの手をさしのべてくれてもいいじゃん!

結局、蒼に送ってもらい、その日は帰宅した。
< 65 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop