空を見上げて
「お前…よく進級できたよな…」

「うるさいな!そんなの、どうでもいいから教えなさい!」


それが教えたもらう人のセリフなの?

私は、心の中で突っ込みを入れながら、ふと茜に視線を移した。

その瞬間にバッチリと目が合ってしまった。


「美月ぃ~!」


マズイ…。

そう思った時にはもう遅く…。

それからは、私と蒼との2人で茜の勉強を教える羽目になるのだった。


つ…疲れた…。


茜のわからないところは、本当に基本的な所からで、ため息をつきながら、自分の勉強の時間を割いて茜に費やす。

それでも、茜の勉強は明日の試験範囲には間に合いそうになく、蒼は、茜のためにヤマを教科書にチェックしてあげていた。


優しいなぁ。

今までもテストのたびにこうやって、茜は蒼に教えてもらってたんだろうな。


無事に今日の授業も終わり…と言っても、自習がほとんどだったんだけれど。

帰宅した私は、着替えるとすぐにベッドに倒れ込んだ。

まだ、この学校に通い始めてから2日だと言うのに…。

早くも私の中で少しずつ変わりつつある感情。


『誰とも関わりたくない。』

『一匹狼でもかまわない。』


この学校に来る前はそう思っていたのに。

…思いこもうとしていたのかもしれない。

1人になることの淋しさも知ってる。

でも…あんなことになるなら、1人の方がまだマシ。

自分に言い聞かせていたのに。


私の過去も知らずに、普通に接してくれるクラスメイトといることに、居心地がいいと思っている自分に気づく。

でも、私の心の中には高く厚い壁が存在する。

私にはまだその壁を越えることも、取り壊すこともできない。

1人はイヤ。

そう思うのに、心を開くのも怖い。

今まで、どうやって人と接してきたのかがわからなくなっていた。

それでも、ブッキラボウな返事をすることも少なくなっていた。

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