花とアイドル☆《完》
――拓斗クン、今からお仕事なん
だ……。


朱鷺田さんは、足早に玄関まで
進んだ。

ほどなくして廊下の向こうから、
軽快に階段を下りる足音が聞こえ
てくる。


――結局、あのあと少しは寝れた
のかなぁ〜。


そんなことを考えてたら、拓斗と
朱鷺田さんが庭先に姿を現した。


「忘れ物はないか?」


落ち着いた口調で尋ねる朱鷺田
さんに、


「だいじょーぶだって!

てか、毎朝聞くなっつーの」


今日はカジュアルなスタイルの
拓斗は、キャップを目深に被り
ながら答えている。


――なんか、お兄さんと弟みたい♪


微笑ましいなぁ、と上からこっそ
りそんな光景を眺めていると。
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