花とアイドル☆《完》
拓斗が、玄関まで続く小道の途中
で立ち止まった。


『ん?』という感じで振り返った
朱鷺田さんに、

「ゴメン、ちょっとだけ待って」

と断ると、小道の端に寄って、
少し身をかがめてしまう。


――え……まさか気分でも悪く
なったんじゃ――!


花乃が、さぁぁっと背中が冷たく
なるのを感じて、窓枠をぎゅっと
握りしめた、まさにその時。


拓斗は、唐突なくらいにパッと
身を起こして、花乃のいる方に
顔を向けた。


当然、思いっきり目があって、
花乃は身動きも忘れるくらい、
びっくりしてしまう。


「お、花乃さん、
ナイスタイミング!」
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