花とアイドル☆《完》
てっきり蒼白にでもなっているか
と思った拓斗は。

意外にも、抜けるような爽やかな
笑顔で、花乃に手を振った。


「おはよ〜!

さっきはサンキュなー☆」


「お、おはよぉ……!」


反射的に挨拶を返しながらも、
状況がよく飲み込めない花乃に、
拓斗は続けて、


「咲いてるよ〜、は・な!」

と声をかける。


「え!? はなって――?」


「ここ!

花乃さんと母さんで植えたとこ
でしょ〜?」


拓斗の指差す方を見て、ようやく
花乃も理解した。


――あ……、ルリマツリ……!


拓斗が屈み込んでいたのは、
まさに先日ルリマツリの苗木を
植えた花壇の前。


周囲の花とバランスが合うように
枝の形も整え終わって、開花を
待つだけとなっていたのだけれど。
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