花とアイドル☆《完》
ルリマツリは、夏が過ぎれば
終わってしまう花だけれど。

それでも、花乃にとっては、
本郷家での最初の思い出になるに
違いない。



まだまだひっそりと咲く小さな
花を見つめながら。

花乃は、心の中にも花が咲いた
ような、暖かい気持ちになって
いた。


花が開いたことも、もちろん
嬉しい。


でも、それだけじゃなくて――。


――拓斗クンが、最初に気付いて
くれたんだよね……。


きっと、ほとんど寝ないでお芝居
の練習をして。


ものすごく眠かったり、疲れてた
かもしれないのに。


拓斗クンは、こんなにひっそり
咲いている花に、気付いてくれた……。
< 192 / 474 >

この作品をシェア

pagetop