花とアイドル☆《完》
「だ、だって……」


たしかに、理不尽だという怒りも
感じた。


でも、そのときは、怒りだけじゃ
ない色んな感情で、頭がゴチャ
ゴチャになって。

とても、言葉を紡ぎ出せるような
状態じゃなかったのだ。


「混乱してたし……泣きそうに
なっちゃって……」


弱々しい声で説明する花乃に、
みずほは1つ大きく息をつくと、


「男慣れしてない花乃が、そんな
キツそうなヤツに睨まれたら、
仕方ないか。

まあその場で泣かなかっただけ
エライ!」


なぐさめるように、よしよしと
頭を撫でてくれる。


「でも、どうすんの?

そいつ、しょっちゅう家に出入り
してるんでしょ?」


「うん。

毎日、拓斗クンの送り迎えしてる
から……」
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