花とアイドル☆《完》
「拓斗クン――?」


――え……どういうこと?


拓斗より数歩前に出る形になった
花乃は、振り返って拓斗の顔を
仰ぎ見た。


視線を絡ませたまま、拓斗は寂し
そうな笑みを浮かべる。


「自分は好き勝手やってながら、
こんなのただのワガママだって、
分かってるんだけどさ。

オレはもうフツーの人間じゃない
のに、周りにはフツーでいてほし
い…なんて、ムリに決まってる
のに……」


――――あ……!


その言葉で、花乃はようやく、
拓斗の言おうとすることが少し
分かったような気がした。

――つまり――自分のせいで、
周りの人に普通じゃないことを
強いないといけない。

それが、辛いっていうこと?
< 276 / 474 >

この作品をシェア

pagetop