花とアイドル☆《完》
でも、拓斗ははぐらかすように
看板の向こうを指差して、


「バラ、見に行くんでしょ?

行こーよ」


そう言うと、一人で先に歩き
出してしまった。


「あ、待って……!」


仕方なく、花乃も小走りに追い
つくと、並んでバラ園に続く
小道を進む。


ほどなくして到着すると、フワリ
とバラの芳香が鼻をくすぐった。


「へー、キレイだね!」


品種によって見頃もずれるのか、
全てが満開というわけではない
けれど。


それでも数10種類以上もの品種が
、エリア毎に別れて植えられて、
バラならではの優雅な姿で咲き
誇っている。


「ホント、キレイ……!

初めて見るのもいっぱいだぁ!」


我を忘れてはしゃいだ声をあげ、
花乃はパタパタと通路を駆け
回った。
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