花とアイドル☆《完》
なんだかものすごいことをした
ような言いように、花乃は恐縮し
てブンブンと両手を横に振った。


「そ、そんな、
たいしたことは……」


「あーるーの!

ったく、ホント自覚ないんだから
なぁ」


隣を歩きながら、拓斗はヤレヤレ
というように、大げさに肩を
すくめる。


「……とんだ鈍感お姫様だよ、
まったく……」


「――え? なあに?」


最後の一言は小声過ぎてよく
聞こえなかったので、花乃は
拓斗を見上げて聞き返したのだ
けれど。


「……なんでもないよ〜。

さてと、少し急がないと時間に
遅れるかな?」


拓斗はそう言ってその話をオシ
マイにすると。


無言で花乃の手を掴んで、どこか
むくれたような表情で、スタスタ
と歩き出したのだった……。
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