花とアイドル☆《完》
そんな二人の間に、短い沈黙が
流れたけれど。


それはすぐに、遥がボソリと
もらした呟きで、遮られる。


「ボクが――。

ボクだけが、本当の拓斗を知って
るのに……」


「――――!!」


花乃は全身を衝撃が駆け抜けるの
を感じた。


――そんな……、
そんなのありえないよね……?


頭のどこかでは考えていた――
でも、絶対そんなことはないと
打ち消していたことが、ぐっと
心の表面に頭をもたげてくる。


昨日の夜と、今朝からずっと
考えていたこと。


そう、それこそ、考えすぎて
頭が痛くなって、気分が悪くなる
くらい。


――でも……。

だって遥クンは……!?


否定したい思いが、さらに花乃の
思考を惑わせた。
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