花とアイドル☆《完》
遥は、思いつめたような真剣な
眼差しで、じっと拓斗を見つめて
いる。


「どうした、遥?」


さっきからの曖昧な口調といい、
今の態度といい。


どこか腑に落ちない様子に、
改めてそう尋ねると。


「――なんで、そんなに必死に
探してるの?」


「え―――!?」


予想もしていなかった問いに、
拓斗は言葉を失う。


マジマジと見返す視線を正面から
受け止め、遥はもう一度、


「ずっと走り回って――拓斗、
そんなことしちゃヤバいだろ。

結城拓斗だって、誰かに気づかれ
るかもしれない」


「そ、そりゃそうだけど――。

探さないわけにいかないだろ」


「おばさんや奈津美さんが探せば
いい。

拓斗自身が、こんな必死になって
探さなくてもいいじゃない」
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