花とアイドル☆《完》
「やっぱり、拓斗も気づいてる
んだね……」


「え――? 何を――」


その問いは、遥の声に遮られた。


「なんでもない。

ゴメン、拓斗。ボクは一度教会の
方へ戻る。

この先の道、ずっと行ってみた
わけじゃないから――。

もう一度、探した方がいいかも
しれない」


そう言うと、遥は拓斗をその場に
残したまま、立ち去ろうとする。


「あ、待てよ――!」


振り返って遥の背中に呼びかける
と、遥は一度だけ立ち止まって、


「ゴメンね、拓斗……」


拓斗に背中を向けたまま。

ほとんど聞き取れないような
か細い声でそう呟くと。


何かを振り切るように、その場
から駆け出した――。



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