花とアイドル☆《完》

お互いの気持ち

小さくなる遥の姿を見送って、
拓斗は小さくため息をついた。


――どうしたんだ、あいつ……。


ぎこちない態度や意味深な発言は
、どう考えても普段の遥とは
異なっていた。


それがもちろん気にかかったが
……なぜか、立ち去る遥を追い
かけることはできなかった。


花乃を探すという、本来の目的の
こともある。


でもそれ以上に、今追いかけても
自分には何もできない――追い
かけるべき時ではないのだと、
そう、遥の背中が告げている
ような気がして。


――やめよう。

今は考えてるときじゃない。


拓斗は何度か首を横に振って、
揺らぐ心を落ち着かせると、
遥が言い残していった小道の先に
視線を向けた。
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