花とアイドル☆《完》
――遥がああ言うなら……行ってみるしかないよな。


どのみち、他に心当たりもない。


拓斗は、再び走り出した。



緩い上り坂の道は、徐々に道幅も
狭くなり、山のふもとに近づく
道だということがよく分かる。


あの教会を最後に、この先には
観光客が足を向けるような場所は
ないのかもしれない。

しばらく走っても、周囲には
人影ひとつ見当たらなかった。


――なんか、もうどーでもよく
なってきた……。


心の中でそう言い捨てると、
拓斗はそれまでずっとかけていた
サングラスを外した。


――こんな所、誰にも会わない
だろうけど――。

でも、会ったって、別にいい。
< 398 / 474 >

この作品をシェア

pagetop