花とアイドル☆《完》
むしろ誰かに会ったら、花乃さん
を見かけなかったか、聞いて
みないと。


だって――自分は今、花乃を
探しているのだ。


だったら、そうするのが当たり前
じゃないか。


拓斗はサングラスを胸ポケットに
しまうと、ためらうことなく前を
見据える。


『どうして、そんなに必死に
なってるの?』


遥の言葉が、頭の中でリフレイン
した。


「……どうしてだろうな」


極力他人の目につかないように
しなければいけない自分が、人目
も気にせず走り回ったりして。


たしかに、今までの自分なら、
こんなことはしなかったかも
しれない。


――でも……花乃さんが相手
じゃ、ダメだ。


とても、ただじっと戻ってくる
のを待ってるなんて、できない。
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