花とアイドル☆《完》
「ったく、あの人は。

オレが探し回るの、これで2回目
じゃん……」


あのときも、必死で走り回った
っけ。


でもあのときは、花乃が飛び
出して行ったのは、自分のせい
だと分かっていた。


今回は、理由もどこにいるの
かも、さっぱり分からない。


それだけで、例えようもない不安
と焦りが、心に込み上げてくる。


「どんだけ心配させりゃ気が
済むんだよ。あのお姫様は……」


荒い呼吸の合間にそうつぶやき
ながら、拓斗は木漏れ日の眩しい
山道を走り続けた。



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