花とアイドル☆《完》
――みんな、今頃すごく心配
してるよね……。


立ち去った遥が、どうしているの
かは全く想像がつかないけれど。


急にいなくなったうえに電話も
つながらなくて、心配していない
わけがない。


――早く戻らなくちゃ……、
早く……。


「――あっ!」


焦りが如実に足元を狂わせて、
とうとう花乃は再び地面に両手を
ついてしまった。


同時に、張りつめていた心の糸が
切れ、体中の力が抜けていく
ような感覚にとらわれる。


――もうヤダ……動けないよ。

誰か助けて……。


一度はおさまった涙が、また
あふれてきた。


――早く戻りたい。みんなの
ところに。


「拓斗クン……」


――拓斗クンのところに、戻り
たいよ。
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