花とアイドル☆《完》
次の瞬間、花乃は自分の体が、
熱くて優しい誰かの両腕に抱き
すくめられていることに気づく。


―――え……!?




「よかった……。

やっと、見つけた……」



耳元で響いた声は、今まさに
思い描いていた人のものだった。



「――――拓斗……クン……?」



「もぉ……
頭おかしくなるかと思った――」



その声は消え入りそうなほど
小さいのに。


体を包み込む両腕には、ぎゅっと
力がこもる。


――ウソみたい……。

拓斗クンのことを考えてたら、
ホントに来てくれるなんて。


そして、こんなに優しく、抱き
しめてくれるなんて。


――あたしが会いたいと思ってた
のが、伝わったの――?
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