花とアイドル☆《完》
「花乃さん……!」


遥は涙をこらえながら、一度だけ
大きく頷いた。


「ごめんなさい。

ボクは、自分と拓斗を見失ってた
――。

あなたの言ったとおり……。

でも、もう絶対に見失わないって
約束します!」


「うん。

遥クンなら、だいじょーぶだよ」


――こんなに拓斗クンのことが
大好きな彼なら、きっとだい
じょーぶ。


花乃はそう確信して、笑顔で
頷いた。


その笑顔につられるように、
遥も泣き笑いではにかんで。


そして、拓斗に向き直ると、
ためらいながらも、こう切り
出した。


「ねぇ、拓斗。

小学生の頃――まだお前が芸能界
デビューするなんて話も全く
なかったときにさ。

冗談で、拓斗もいつかはおばさん
みたいにアイドルになるのかなー
なんて話、したよね?」
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