卒業〜君のとなり〜
体育館に向かい、卒業生は廊下で待機する。
ドアの向こうには、
足元にひかれた草色のざらざらしたマット。
所狭しと並べられたパイプ椅子。
体育館を囲むように張られた紅白の幕。
花でいっぱいのステージ。
在校生や保護者はもうすでに席を埋めていた。
廊下でしゃがみこみながら
心臓がいつもと違う打ち方をしてるような気がした。
ただのドキドキじゃない。
苦しいような、モヤモヤするような、喉元まで何かがきているような。
でもそれはそこでつかえて外に出て来ることはなくて、
でも引っ込むこともなくて。
その代わり、鼻の奥が何だかじんじんする。
左斜め前に座っていた鶴田と目が合った。