卒業〜君のとなり〜

体育館に向かい、卒業生は廊下で待機する。


ドアの向こうには、


足元にひかれた草色のざらざらしたマット。

所狭しと並べられたパイプ椅子。

体育館を囲むように張られた紅白の幕。

花でいっぱいのステージ。


在校生や保護者はもうすでに席を埋めていた。




廊下でしゃがみこみながら

心臓がいつもと違う打ち方をしてるような気がした。


ただのドキドキじゃない。

苦しいような、モヤモヤするような、喉元まで何かがきているような。



でもそれはそこでつかえて外に出て来ることはなくて、

でも引っ込むこともなくて。


その代わり、鼻の奥が何だかじんじんする。




左斜め前に座っていた鶴田と目が合った。

< 13 / 36 >

この作品をシェア

pagetop