卒業〜君のとなり〜
バカなんて
そんな言葉でさえ愛しい。
もう聞けなくなるなんて、何だか信じられないよ。
だって、鶴田は目の前にいるのに。
こんな近くにいるのに…。
「鶴田」
「ん?」
「何かちょうだい」
「は?」
「だから、記念に!」
あー恥ずかしい。
顔が熱い。
「いいけど、じゃあお前も何か出せよ」
「分かった。名札でいい?」
「おう」
私は胸についていたミッキーのシールのついた名札の安全ピンをはずし、鶴田の手のひらに渡した。
「サンキュ」
シャーペンでも、消しゴムでも何でもいい。
鶴田の何かが欲しい。
そしたら私、ずっと大切に持っておくから。