卒業〜君のとなり〜
Ⅱ
「麻衣ー、起きてるー?」
「起きてるー」
朝が来た。
ついに来てしまった、卒業の日。
昨日は眠れなかった。
外を見るとよく晴れていた。
よかった。
私は制服を着て、全身鏡の前に立つ。
ダサいダサいと思ってた制服も、もう着ることないんだな。
そう思うと、何だか愛しく思えてくる。
校章の模様、こんなんだったっけ。
ちゃんとまじまじと見た事なかった。
紺のサブバック。
もう大分ボロボロだ。
友達とお揃いでつけてたキーホルダーとか、修学旅行で買った縁結びのお守りとか、がちゃがちゃついてる。
これももう使う事はないんだね。
物にも愛着。
お世話になりました。
卒業、寂しいけど、今日は笑っていよう。
私は鏡に向かって、無理やり笑顔をつくった。