双子



「えっ」

あたしより先に声をあげたのは茜だった。

「何それ、おかしいよ渉君」

口に手をあてて、笑いながらそう指摘した。
確かにおかしいわな、と茜に心の中で同意した。

「....えない」

「茜今何か言った?」

「んーん、何でもないよっ」

「あ、そう」

なんだったんだろうか。
茜がボソッと呟いた気がしたので、聞いてみたけど聞き間違いだったようだ。


「性格とか正反対なのに、好みは似てるんだものな。」

「あぁー、確かにそういわれればそうかもね」

渉の言葉に同意するその兄優。

「まぁ、そこは一応双子なので」

と、軽く説明しあたしは昼食を再開した。
ぶっちゃけ、早く食べたかった。

「ねね、あたし渉君たちとどっか行きたい!!」


「ん、いいよ。いつ?」

もしゃもしゃとご飯を咀嚼しているあたしをよそに、茜達は遊ぶ約束を取り付けていた。
積極的で何よりだ。

「んとね、今週の土曜日何てどうかな」

「あぁいいよ、おっけ。渉もOKだよね?」

「いや、俺はやめとくよ」

「あれ、そう?」

内心、楽しそうだなぁ。と思いながらお弁当を完食した。
片付けを素早く済まし、椅子と机を元の位置に戻す。

その行為があたしが誘われなかったのを怒っているように見えたのか、
高野(兄)がこんな事を言った。

「愛ちゃんも一緒に行く?」








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