双子



何処かで確かにあったこと。
朧気だが、覚えている。


「ねえねえ、こっちきて!」

「うん、いいよちょっとまってね」

「まって、あたしもいく」


ぎゅっと小さな手で掴んだ服は、第三者によって弾かれた。
ひりひりした痛みが、赤くなった手に伝わった。

「あんたはあたしよりしたなんだから、ついてこないでよ」

突き刺さった、一言。
その言葉を吐き捨てた人物は、何事も無かったように、あの子を連れて行った。

「ちょっと、それ、いいすぎだよ」

あの子が庇ってくれた。
嬉しかった。

「いいんだよ。あたしよりかわいくないし、すかれてもないんだから」

そこから先は聞き取れなかった。
あいつがあの子を連れて行ったから。



なんで、なんで、なんで。

なんであいつは、いつも、



ずるい、ずるいよ。




しんじゃえばいいのに。








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