双子
「どれにしようか…」
遊ぶ約束を交わしたその日の帰り、あたしはノートを買うべく駅前の雑貨屋へ向かった。
茜にノートを取られたからだ。
で。
目の前にあるのは色とりどりのノートたち。
これだけ量があると、どれでもいいと思っていても悩んでしまう。
「これにしとくか…」
手に取ったのは、地味な黒いノート。
本当はピンク系が好きだけど、茜に取られるのが嫌なので地味なのにした。
身の回りのものも、キーホルダーだけピンクのものを取り入れている。
これならたぶん、茜は気づかないだろうから。
文房具コーナーを去ろうと、踵を返そうとしたとき。
鼻先に鈍い痛みを感じた。