双子





「どれにしようか…」


遊ぶ約束を交わしたその日の帰り、あたしはノートを買うべく駅前の雑貨屋へ向かった。
茜にノートを取られたからだ。



で。

目の前にあるのは色とりどりのノートたち。

これだけ量があると、どれでもいいと思っていても悩んでしまう。


「これにしとくか…」

手に取ったのは、地味な黒いノート。

本当はピンク系が好きだけど、茜に取られるのが嫌なので地味なのにした。

身の回りのものも、キーホルダーだけピンクのものを取り入れている。


これならたぶん、茜は気づかないだろうから。


文房具コーナーを去ろうと、踵を返そうとしたとき。
鼻先に鈍い痛みを感じた。


< 16 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop