双子
「いいだろ、これ」
宝物でも見つけた子供のように、見せびらかす。
そんな姿を見て、思わず、
「ぶっ…くくく」
笑ってしまった。
気づいた瞬間、慌てて口を手で覆った。
「えっと、今のはですね…」
言い訳を考える、だけど頭が回らない。
「いいよいいよ、気にしないで」
言い訳を考えなくてもよかったようだった。
「質問だけど、双子って、好みも似るもんなの?」
唐突に切り出された質問、ていうかお前も双子じゃないか。
「たぶん人によって違うと思いますけど、あたしと茜は好みも一緒ですよ」
じゃなきゃ、茜はノートとか卵焼きとか取り上げないと思うし。
「じゃぁ、これあげたらお前は喜ぶ?」
「さあ、どうでしょう」
もしかしたら、くれるんじゃないかって期待している自分がいた。