双子
元々、1つだった赤ちゃんが何かの原因で分裂し、
生まれたクローン。
つまり生まれる予定が無かった、偶然できた茜の妹の私。
こう考えると、時折ものすごく悲しくなる。
だからあんまり考えないけど。
「愛?」
「んっ!?」
背後から声がした。
考え事をしていたので思わず声が上擦った。
振り向くと、そこに居たのは双子の姉の茜だった。
「何やってんの、学校いくよ」
制服をきっちり着こなした茜が、不機嫌そうにこちらを見ていた。
学校という事をすっかり忘れていた私は、茜のその一言で現実に帰った。
「あっ」
「んもう、早くしてよね」
携帯をいじりながら、茜は私が着替えるのを待っていた。