双子
「渉ー、見つけた」
私が喉から搾り出した声は、第三者によってかき消された。
「優。遅かったな」
「ごめんねー、あれっ。愛ちゃんも一緒?」
「はあ、ちょっと一緒になったもので。ご迷惑なら退きます」
買い物を済ませてきた優が戻ってきた。
手にたくさんの袋を抱えて。
一体何を買ってきたんだ。
「これあげる。シャーペン」
「あ、どうもです」
優から手渡されたピンク色のシャーペン。
何なんだ、この兄弟はあたしの趣味を把握しているのか?
「これ、水色黄色ピンクって三種類あったからまとめ買いしちゃったんだよねー」
「俺は水色使うから。優は黄色な」
「いいよー」
これ、本当に貰っちゃっていいんだろうか。
大切に使おう…
「そろそろ帰ろうか」
優が切り出した一言で、あたしたちは店を後にした。
そして、その背中を誰かが見ていたのを知らなかった。