双子
それから時が経ち、
あたしも茜も、背も大きくなり始めて女の子らしくなった。
あの子は最近見かけなくなった。
「茜、最近あの子みないね。なんでいないんだろう」
そう茜に問い掛けて3日後、
母親に引っ越した、という事実を伝えられた。
「何で言ってくれなかったの、」
「2週間位前、茜に愛に伝えてって言ったんだけど…茜言ってなかった?」
階段を駆け上り、茜の部屋のドアを乱暴に開けた。
足を踏み鳴らして茜に詰め寄った。
「茜、何で引っ越した事言ってくれなかったのっ」
「あれ、ごっめん。忘れてたー」
茜は雑誌を見ながらでこちらを一目も見ずに、そう言った。
「っあんた」
「ねぇ、見て見て愛っ。あたしあの子から告白されちゃったんだっ」
茜があたしの目の前に突き出したのは、あの子の字で書かれたラブレター。
一瞬にして、憤りが悲しみに変わった。
涙が出そうなのを堪えて、
「おめでとう」
静かに言い放った。
「でも~、あの子引っ越しちゃったから別にあんまり関係ないんだよね」
背中で聞き、静かにドアを開けて廊下へ出た。
悔しかった、同じ顔をしたもう1人の自分に負けたのが。
あたしはその場で蹲って泣いた。
その日から、あたしは変わった。