双子
2
暫くして担任が入ってきて、朝のホームルームが始まった。
挨拶などを済ませた後、行われるのは出席。
私の苗字は伊吹。
「い」だから早く呼ばれる。
「伊吹茜とその妹ー居るかー」
担任が気の抜けた声でそう呼んだ。
「ちょっと先生、愛も名前で呼んでください」
茜が注意してくれた、けどそう言うこというと私が惨めに見えて嫌だ。
「いいよ、茜」
「えっ、でも」
「茜は優しいなー」
ほんとによかったの、と言う目で私を見つめてきた。
でもあれはわざとだよ、ねぇ、先生。
双子なのにここまで待遇が違うか…
「高野渉と高野優ー」
言い忘れていたけど、このクラスには私達の他にもう1人双子が居る。
それがさっき私の机に座ってきた高野渉(わたる)、片割れの名が高野優(まさる)。
兄の優は明るくて、運動神経抜群。
弟の渉もやはり明るくて運動神経抜群。だけどたまに人が変わったようになる。
時々冷たい目をするというか、そんな感じ。
そうして、最後の人が呼ばれた。
「湯川奈緒子ー」
「はーい」