双子



ホームルームが終了すると、次にあるのは休み時間。
といっても、授業前の休み時間だからそんなに時間は無い。

「愛ー」


「あぁ、茜」

茜が椅子から立ち上がって、私のもとへ来た。
隣だし距離は無いけど。

「茜、さっき大変だったね。人がいっぱい集まってきて」


「そうなんだよー、でも愛だって双子なんだから変わんないのに」

茜の笑顔に含まれたちょっとした棘。
こういうのを無自覚茜は言ってるからたちが悪い。

「まあ、茜は可愛いからね」

「そんなことないよ!!愛の方がかわいいし!ってそんなことより」

語気を荒くして否定。

この子は本当に中身も見た目も全部完璧なんだなあって、思った。
そんな完璧な姉の妹は陰気で可愛くない。

差がありすぎる。


「さっきのホームルーム、よかったの。名前」


「あぁ、別にいいよ。大丈夫」


「ふーん……ならいいけど…」


茜はくるりと踵を返して、高野たちが居る場所へ行った。


あ、そういえば次移動教室だ。

< 6 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop