双子
ホームルームが終了すると、次にあるのは休み時間。
といっても、授業前の休み時間だからそんなに時間は無い。
「愛ー」
「あぁ、茜」
茜が椅子から立ち上がって、私のもとへ来た。
隣だし距離は無いけど。
「茜、さっき大変だったね。人がいっぱい集まってきて」
「そうなんだよー、でも愛だって双子なんだから変わんないのに」
茜の笑顔に含まれたちょっとした棘。
こういうのを無自覚茜は言ってるからたちが悪い。
「まあ、茜は可愛いからね」
「そんなことないよ!!愛の方がかわいいし!ってそんなことより」
語気を荒くして否定。
この子は本当に中身も見た目も全部完璧なんだなあって、思った。
そんな完璧な姉の妹は陰気で可愛くない。
差がありすぎる。
「さっきのホームルーム、よかったの。名前」
「あぁ、別にいいよ。大丈夫」
「ふーん……ならいいけど…」
茜はくるりと踵を返して、高野たちが居る場所へ行った。
あ、そういえば次移動教室だ。