双子
「えぇー…」
何でそうなる。
「お金なくて…でも絶対返すから!!」
これ結構気に入ってるのに、まいったなあ。
あたしも金欠だし…どうしようか。
あたしが黙り込んでいたのが気に障ったのか、
茜は口を尖らせて、
「あたしはお姉ちゃんだから、いいよねっ」
出た、茜の口癖だ。
何でもかんでもあたしのものをあの一言で掻っ攫っていく。
ぬいぐるみも、シャーペンも、キーホルダーも、お菓子も、大好きだったあの子も。
ノートが茜の元に渡った。
私に残ったのは、教科書と資料集と、何ともいえない気持ちだった。