双子



授業が終わり、教室に戻る時。

湯川奈緒子がこちらへ来た。

「あ、奈緒」

茜ほどじゃないけど、あたしにだって友達は居る。
それが湯川奈緒子だ。

あたしは奈緒、と呼んでいる。

「愛ー、見てたよ。ノート取られてたでしょ?茜に」


「見てたんだ…」

ちょっとやなところ見せちゃったなー…
何にもいえないあたしにも問題があると思うけどね。

「愛の分も、ノートとっておいたから渡すね」

「あっ、ありがとう」

これは助かる。
奈緒から受け取ったルーズリーフの紙を二つ折りにして、しまった。

「愛、うちは茜なんかより愛の方が好きだからね」

「あはは、ありがとう」

そう言ってくれるととても嬉しいよ。

「愛も、茜の言いなりになってないで言い返しなよ」

「うん、そうだね」

奈緒は、全部親身になって考えてくれる、最高の友達。

でも、茜に勝てるところなんて私には1つも無いから言い返すのは無理だよなあ…
< 9 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop