双子
授業が終わり、教室に戻る時。
湯川奈緒子がこちらへ来た。
「あ、奈緒」
茜ほどじゃないけど、あたしにだって友達は居る。
それが湯川奈緒子だ。
あたしは奈緒、と呼んでいる。
「愛ー、見てたよ。ノート取られてたでしょ?茜に」
「見てたんだ…」
ちょっとやなところ見せちゃったなー…
何にもいえないあたしにも問題があると思うけどね。
「愛の分も、ノートとっておいたから渡すね」
「あっ、ありがとう」
これは助かる。
奈緒から受け取ったルーズリーフの紙を二つ折りにして、しまった。
「愛、うちは茜なんかより愛の方が好きだからね」
「あはは、ありがとう」
そう言ってくれるととても嬉しいよ。
「愛も、茜の言いなりになってないで言い返しなよ」
「うん、そうだね」
奈緒は、全部親身になって考えてくれる、最高の友達。
でも、茜に勝てるところなんて私には1つも無いから言い返すのは無理だよなあ…