記憶の方程式(2011年10月15日更新)
冷たい体
怜人の部屋はいつ来ても冷たく感じる。
怜人が記憶を無くす前にくれた合鍵でその部屋に入る。
薄暗い廊下の電気を付けて、一番奥の寝室の扉を開けた。
「・・・怜人?」
怜人は黒の革張りのソファーに身を沈めながら無気力にタバコを吸っていた。
あたしの方に一瞬目を向ける。
「なに?あんた、また来たの?」
怜人の口から出た冷たい言葉が遠慮無しに私の心に刺さる。
《知奈…早くおいで》
過去の怜人と今の怜人がシンクロする。
「会いたかったから・・・」
「あっそ」
興味なさげに呟いた。
私は爪が食い込むくらいに手をギュッと握った。
このあと怜人から言われる言葉を少しでも衝撃を減らすために。
「脱げば?」
怜人が記憶を無くす前にくれた合鍵でその部屋に入る。
薄暗い廊下の電気を付けて、一番奥の寝室の扉を開けた。
「・・・怜人?」
怜人は黒の革張りのソファーに身を沈めながら無気力にタバコを吸っていた。
あたしの方に一瞬目を向ける。
「なに?あんた、また来たの?」
怜人の口から出た冷たい言葉が遠慮無しに私の心に刺さる。
《知奈…早くおいで》
過去の怜人と今の怜人がシンクロする。
「会いたかったから・・・」
「あっそ」
興味なさげに呟いた。
私は爪が食い込むくらいに手をギュッと握った。
このあと怜人から言われる言葉を少しでも衝撃を減らすために。
「脱げば?」