記憶の方程式(2011年10月15日更新)
「あっ!それから!!言い忘れてたけど……」
優人くんがタクシーのドアを閉める前に私の方に振り返った。
「俺は兄さんの意見を尊重する!!何があっても兄さんと知奈さんの味方だから!!」
「う、うん」
優人くんが何のことを指して言っているのか理解できないままに頷いた。
けれど優人くんは満足そうに優しく笑った。
優人くんがタクシーの運転手さんに「出発してください」と告げて、タクシーはゆっくり進みはじめた。
病院の正面入口の自動扉が開く音が聞こえて無意識にそちらを見る。
「知奈!」
私が欲しく欲しくて手に入れて、
だけど、砂が手から溢れるようにあなたは私の記憶を無くして、
一度は諦めたけど、
でもあなたはまた私を望んでくれた。
「怜人…」
怜人はゆっくり、でも確かめるように私を抱きしめた。
「退院、おめでとう」
「ありがとう、知奈。俺を待っててくれて」
怜人の温もりに愛しさを感じながら涙が頬を伝った。
優人くんがタクシーのドアを閉める前に私の方に振り返った。
「俺は兄さんの意見を尊重する!!何があっても兄さんと知奈さんの味方だから!!」
「う、うん」
優人くんが何のことを指して言っているのか理解できないままに頷いた。
けれど優人くんは満足そうに優しく笑った。
優人くんがタクシーの運転手さんに「出発してください」と告げて、タクシーはゆっくり進みはじめた。
病院の正面入口の自動扉が開く音が聞こえて無意識にそちらを見る。
「知奈!」
私が欲しく欲しくて手に入れて、
だけど、砂が手から溢れるようにあなたは私の記憶を無くして、
一度は諦めたけど、
でもあなたはまた私を望んでくれた。
「怜人…」
怜人はゆっくり、でも確かめるように私を抱きしめた。
「退院、おめでとう」
「ありがとう、知奈。俺を待っててくれて」
怜人の温もりに愛しさを感じながら涙が頬を伝った。