【短】─サクラサク─
 おかしいことのついでだ。



「さくら」


 腕に力を少し入れて。

心臓も、たまには活躍してくれよ?



「結婚しよっか?」


 体を硬直させたさくらは、一瞬にして頬をピンク色に染めて見上げてきた。


戸惑いにまつげが震えて、口がゆっくり開いた。


「ひ、……ヒロ?」


 この腕にあるものは、確かにか弱くて、儚い。

それでも、確かに歩んできた道がある。


「まあ、答えは決まってるか」


 目を真ん丸にした、愛しい彼女。


 今はじーちゃんのための黒いワンピース。

でも、いつかは俺のための白い純白のドレスに。




 そのときは、ピンク色の桜を添えて──…




 *fin.*

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