Violet Moon
やめて、殺さないで。
お願いやめて。
「ご、ごめん
大丈夫?」
「え?」
死の騎士じゃない。
優しそうな男の子の声。
あたしはゆっくり顔をあげた。
「ごめんね、痛かっただろ?」
彼は笑顔であたしに手を差し延べた。
震える手であたしは握りしめた。
立ち上がり
服についたドロをはらう。
気づけば辺り一面草だらけ
商店街からだいぶ遠くに来たのかもしれない。
「君、名前は?」
「あたしはエネミー…」
そう、言うと一瞬
驚いた顔をした。
「エネミー…って言うんだ?
僕はラビ」
ラビと名乗る少年は
灰色の少し長めの髪の毛に
緑のローブにベルトのようなものがついたブーツ
なんて言えば言いのだろう
何か、お伽話に出てきそうな王子様みたいな…