Violet Moon
人々は皆、商店街に向かって走り出す。
あたしもつられて走り出す。
「ヒィッ…!!」
目にしたものは
お腹から赤黒い血をダラダラ流す、女の人。
目は白目を向いていて
口からは泡を吹き出す。
「なっ…ナニコレ」
吐き気が襲ってきた。
人を…人を…
殺して…
「あ…」
その女の人は砂になった。
人型の砂。
血すら砂になっている。
「どうして、砂に?」
よく、わからない。
「人間だったんだな」
おじさんがあたしの肩にポンっと手を乗せた。
「この人は人間だったんだ
だから、死の騎士に狩られた」
砂は風にのりキラキラと光りを放ち
何処かに飛んでゆく。
「人間界に逃げる途中だったんだろうか…」
おじさんは砂を眺め呟く。
あたしはその呟きを聞く。