【完】君色フォトグラフ
distance1*大嫌い*
「とう!」


私は、ステージの上でボールをダイビングキャッチで取った先輩に目を奪われた。

先輩は背を丸めて受け身をとると、クルッとでんぐり返しをして立ち上がった


「いいえ、私プレーヤーです!」


先輩は野球のグローブを高く掲げた。


先輩の笑顔がとても眩しくて、私の頬はボボボっと熱を帯びていく。

こんなに人を素敵だと感じたのは、初めてだった。


「キャーッ!」


「うおおお、すげー!」


拍手と黄色い声と歓声が混じり、体育館が一気に沸いた。


その歓声に負けないくらい、私の心臓もドッキドッキと鼓動を刻む。


恋!?

いやいや、相手は女だよ?

そんなわけないじゃん!!


「柚(ゆう)さーん!格好いいっす!」


後ろから聞こえた大きな声にビックリして、勢いよく振り向いた私の眼鏡はズルリと下に下がった。


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