【完】君色フォトグラフ
ノートの表紙には丸秘の文字。


「丸秘・・・・・・」


「そう、丸秘・・・けど、大槻になら教えてもいいかな。隣だからどうせ見られちゃってるし。あ、だけどハルにだけは喋るなよ?」


「あ、うん」


「これはな・・・・・・」


ノートを手にとり、私の耳元でこっそりと話す和由君。

耳がくすぐったくて熱かった。


「これは県内のチームの選手の情報が細かく書かれたノート。キャッチャーをしてた3年の野田先輩から譲りうけたんだ」


「へえ。え?和由君、キャッチャーするの?」


「うん。顧問の先生にやってくれって頼まれてさ。やりたかったポジションだったから、嬉しくて」


キラキラした瞳で自分のことを話す和由君がすごく格好良く見えた。



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