【完】君色フォトグラフ
「そんなに、笑わなくても・・・・・・」


「眼鏡、っぷ。そうだ。俺に眼鏡投げつけた」


和由君が近づいて、私の眼鏡に触れる。



そしてあの時と同じように顎をクイっと持ち上げた。


「・・・・・・目、そらさないのかよ」


「近くで、見たい、から・・・・・・」


和由君が私を見つめる。


「私、遠くからじゃなくてもっと近くで和由君を見たい。写真撮るときだけじゃなくて、っん・・・・・・」











私は和由君に唇をふさがれた。

優しくて、あたたかかった。


「この距離なら眼鏡なくても、見えるんじゃねえの?」


和由君が唇をそっと離し、私の眼鏡を外した。


「これで投げるもん無くなった」


「イジワル・・・・・・」









私と和由君は誰もいない教室で、確かめるように何度も、何度もキスをした。


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