【完】君色フォトグラフ
夏。

県大会の決勝戦。

東実高校は、昨年の優勝校土根高校を見事に破り、甲子園出場を決めた。


だけど、どうしたことだろう?

自転車を漕ぐ和由君はだまりこくったまま。

私は和由君の背中をちょいちょいとつつく。


「和由君?」


「・・・・・・」


「和由君!聞こえないの?」


「・・・・・・」


「りんりん、今はだまっててあげて」


隣で自転車を漕ぐハル君が私に切なそうな表情を向ける。


「どうして?」


「和由、今日の試合、全くいいとこなかったから落ち込んでるんだ」


「そうかな?コースはずれたボール、しっかりとってたし。私はすごいと思ったよ!」


「だって!聞いた?和由。りんりん超いい子!!」


「うるせえよ、チビ」


久しぶりに聞く、和由君の毒舌。

ハル君の悲しそうな顔が妙にウケた。



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