【完】君色フォトグラフ
「そうそう。三脚の足を痛めないように一本ずつ、必要な長さまで伸ばしていくのよ」


「はい」


深山先生が手を添えながら優しく教えてくれる。


「望遠レンズってね、とっても写真がぶれやすいの。だからこうしてカメラを固定できる三脚を使ったほうがぶれにくいのよ」


「そうなんですか」


カメラのことなんて全く分からない私は、深山先生のしていることをただ見つめているだけ。

こんな素人一人だけで、深山先生は迷惑なんじゃないだろうか。


「大丈夫。すぐ覚えるよ」


深山先生は私の気持ちを察したのか、私に優しく微笑みかけた。


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