【完】君色フォトグラフ
「よし。オッケー。覗いてみて」


「はい」


「そこからピントリングを回して少しずつ被写体を絞っていくの」


「はい」


私はおそるおそるピントリングを回す。


「そうそう、上手だよ。少し大きくなってきたら、汐崎がいるところにカメラを動かして・・・・・・」


「はい」


少しずつ三脚をずらして柚さんにピントを合わせる。


「すごい。昨日見たときよりもすごく大きい」


「昨日よりは近づいたからね」


深山先生がカメラを覗いている私の肩をポンと叩いた。


「まず、今日は三脚にカメラを置いたまま撮る練習。デジタルだから何枚撮っても構わないからね」


深山先生はそう言うと、会議があるからと言って学校に戻っていってしまった。


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