【完】君色フォトグラフ
その時だ。

ふと目の前に影が落ちた。

背後に人の気配がした私は、おそるおそる振り返った。


目の前にあるのはネクタイ。

そのままなぞるように見上げる。


「!!」




ガタン!




私はあまりの近さに後ずさりをしてしまった。

その拍子にドアにぶつかってしまった。


目の前に現れたのは、あの時、私の隣で柚さんに失礼なことを言ったあいつの顔だった。


「なんだよ」


そいつは冷めたような声で、私に言葉を投げた。



バックンバクン




私は緊張と恐怖で高鳴る心臓を、両手でギュっと押さえて、そいつの背後に逃げるように体を出した。


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